東京高等裁判所 昭和27年(ネ)1317号 判決
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(判旨)被控訴人伊藤右衛門が昭和二三年一一月二二日本件建物について、東京都中央区日本橋江戸橋一丁目一四番地、木造亞鉛葺平家建居宅一棟、建坪一八坪二合五勺と表示して所有権保存登記をしたことは、当事者間に争がなく、成立に争のない乙第九号証によると、昭和二七年四月四日右保存登記に表示された本件建物の所在場所が東京都中央区日本橋江戸橋一丁目四番地一二と更正登記がなされたことが認められる。しかして、本件建物の実際の所在場所が右更正登記の地番にあることは当事者間に争のないところである。控訴人は、被控訴人伊藤喜右衛門のした最初の保存登記は、同人が債権者からの執行を免れ又はこれを阻止するため、故意に地番を間違えてしたものであるから、無効である旨主張するけれども、控訴人の全立証によつても被控訴人伊藤喜右門がこのような悪意をもつて右の登記をした事実を認めることができない。のみならず被控訴人伊藤喜右衛門の当審における供述の結果によると、同人が右保存登記に表示せられた本件建物の地番が実際と違つているのを知つたのは事件訴訟が起つてから後であることが認められるので、最初の保存登記の地番の間違は被控訴人伊藤喜右衛門の錯誤に出たものと認めざるを得ない。しかして、最初の保存登記は地番の表示において事実と符合しないが、この点を除いて建物の種類、構造及び建坪等建物の表示は事実と違つていないから、たとえ地番に右の如き程度の間違があつても、本件建物の登記と認めるべきで、その地番の間違は、更正登記によつて更正せられる程度のものである。(現に更正せられたことは前述のとおりである。)従つて、最初の保存登記は、まだ更正登記をしない以前でも、本件建物の登記として効力を有するものであるから、被控訴人伊藤喜右衛門は建物の敷地である本件土地の賃借権をもつて、右保存登記の後である昭和二五年一二月二五日本件土地について所有権取得の登記をした控訴人に対抗し得るものといわなければならない。(裁判官 角村克己 菊池庚子三 吉田豐)